電通は日本の広告業界をリードする巨大企業として知られています。その影響力は広告にとどまらず、マーケティング、メディア、デジタル領域にまで及び、多くの就活生にとって魅力的な就職先となっています。電通の仕事内容は多岐にわたり、クリエイティブな企画から戦略的なコンサルティングまで幅広い業務を行っています。
この記事では、電通の会社概要や事業領域、独自の企業文化について詳しく解説します。また、採用情報や就職難易度、Webテストの特徴、インターン制度についても触れます。電通の年収や学歴要件、求める人材像など、就活生や転職を考えている方にとって役立つ情報を提供します。電通と似た業界の博報堂との比較も行い、志望動機を考えるヒントも盛り込んでいます。
電通の会社概要
創業と沿革
電通の歴史は1901年、20世紀の幕開けとともに始まりました。創業者の光永星郎は、ニュース配信事業と広告事業を併営する会社として電通を設立しました。1936年に広告専業となり、戦後の日本経済の発展とともに成長を遂げました。1955年には社名を株式会社電通に変更し、1961年には米国のヤング&ルビカムと提携を結びました。2001年には創立100周年を迎え、東京証券取引所第一部に上場しました。
事業内容
電通の仕事内容は多岐にわたり、広告業界のリーディングカンパニーとして、マーケティング、デジタルマーケティング、クリエイティブ、プロモーション、メディア、コンテンツ、PR、グローバル・ビジネスなど、8つの主要領域で事業を展開しています。近年では、デジタル領域への進出やグローバル化を加速させ、顧客企業の事業成長と企業変革を実現するビジネス変革領域にも力を入れています。
企業規模
電通グループは、世界約120カ国で事業を展開する巨大企業です。2023年12月時点での連結従業員数は71,127名に達し、前年から2,061名増加しています。日本国内では22,941名、海外では約48,000名の従業員が働いています。資本金は746億981万円で、2023年の連結売上総利益に占めるカスタマートランスフォーメーション&テクノロジー事業の構成比は31.9%となっています。
電通の事業領域
電通は、広告業界のリーディングカンパニーとして、多岐にわたる事業を展開しています。その中でも特に注目されているのが、以下の4つの変革領域です。
AX(アドバタイジングトランスフォーメーション)
AXは、広告の価値を最大化することを目的としています。電通は、顧客企業の持続的成長にコミットするため、広告効果を最大化することに注力しています。具体的には、業務のデジタル化、データによる可視化、取引形態の進化を通じて、PDCAサイクルを高速で回せる環境づくりを行っています。これにより、広告主のサポートだけでなく、メディアの成長も後押ししています。
BX(ビジネストランスフォーメーション)
BXは、顧客企業の事業成長と企業変革を実現するための領域です。電通は、既存事業の変革や新規事業の創出、企業のインナー改革を含めた支援を行い、顧客企業のトップラインを伸ばすことにコミットしています。組織の熱量を高め、新たな価値創造を促進することで、顧客企業の持続的な成長を支援しています。
CX(カスタマーエクスペリエンストランスフォーメーション)
CXは、最適な顧客体験をデザインし実現する領域です。電通は、データと卓越したクリエイティビティを掛け合わせることで、顧客の長期的な体験価値を最大化することを目指しています。広告、販売チャネル、既存顧客対応など、ブランドが提供するすべての顧客体験を包括的に捉え、事業成長をドライブするCXの構築・改善に取り組んでいます。
DX(デジタルトランスフォーメーション)
DXは、事業変革・事業成長の実現に向けたデジタル活用を推進する領域です。電通は、顧客企業のマーケティングDXを支援し、新サービス開発やマーケティング基盤開発を通じて、理想的な顧客体験の実現を目指しています。データ活用やパーソナライズ化を通じて、顧客数の最大化とLife Time Valueの向上を図っています。
電通の企業文化と特徴
企業理念
電通の企業理念は、「NORTHSTARフレームワーク」として知られています。これは、PURPOSE、WHY/WHAT/HOW、VALUESから構成される独自の理念体系です。電通は、社会・企業・生活者全体のより良いエコシステムのために、中長期的な価値創出を使命としています。短期的な利益追求にとどまらず、クライアントや社会を支える真のパートナーとして、未知の領域への挑戦をサポートしています。
電通の企業理念には、「AHEAD(先駆けとなる)」「Agile(まずやってみる)」「Humor(人間魅力で超える)」「Explore(切り拓く)」「Ambitious(夢を持つ)」「Dialogue(互いに語り尽くす)」といった価値観が含まれています。これらの理念は、電通の仕事内容や社員の行動指針に反映されています。
社風
電通の社風は、従来は体育会系で熱量が高いことで知られていました。上下関係を重んじる風潮があり、社会人のルールやマナーには特に厳しい面がありました。しかし、近年では大きな変化が見られます。
現在の電通では、コンプライアンスに反する文化は徹底的に排除されつつあります。部署によって雰囲気は異なりますが、全体的にはより自由で個人の裁量が尊重される環境になってきています。中途入社者の増加も影響し、従来の体育会系の雰囲気は薄れつつあります。
電通の特徴的な企業文化として、「自分で仕事をつくる」という考え方があります。社員は自ら仕事を見つけ、遂行することが求められます。これにより、やりがいや達成感を感じる社員が多いのも特徴です。また、チームワークを重視し、クライアントの課題解決に熱意を持って取り組む人材が多いことも特筆すべき点です。
働き方改革の取り組み
電通は2016年に発生した過労死事件を契機に、労働環境改革を経営の優先課題として位置づけました。「電通労働環境改革本部」を設置し、長時間労働の撲滅と労務問題の再発防止に取り組んでいます。
具体的な施策として、業務量の適正化、組織運営の見直し、企業文化の再定義などが行われました。また、社員の健康管理やメンタルケアの拡充、モバイルワークの推進、在宅勤務制度の導入なども実施されています。
これらの取り組みにより、電通の総労働時間は大幅に減少し、より働きやすい環境が整備されつつあります。ただし、一部の若手社員からは成長の機会が減ったという声も聞かれ、バランスの取れた改革の継続が課題となっています。
電通の採用情報
募集職種
電通では、主に3つの職種で新卒採用を行っています。総合職、デジタルクリエーティブ職、アート職です。これらの職種は併願が可能となっています。
総合職は、ビジネスプロデュース、マーケティング、デジタルマーケティング、クリエーティブ、プロモーション、メディア、コンテンツ、PR、グローバル・ビジネスなど、幅広い部署への配属の可能性があります。電通の仕事内容の多様性を体験できる職種といえるでしょう。
デジタルクリエーティブ職は、初任配属がデジタルクリエーティブ部署となりますが、その後他部署への異動の可能性もあります。デジタル時代のマーケティングやクリエイティブ業務に携わりたい方に適しています。
アート職は、アートディレクターとしての採用となります。ビジュアルデザインやクリエイティブディレクションに特化した職種です。ただし、半年間限定でクリエイティブ以外の部署を経験する可能性もあります。
選考プロセス
電通の選考プロセスは、エントリーシートの提出から始まります。その後、Webテストや筆記試験を経て、面接段階に進みます。
1次面接では、30代から40代の採用担当者2名程度が面接を行います。志望動機や学生時代のエピソードについて質問されることが多いですが、面接時間が10分から20分と短いため、簡潔に回答することが求められます。
2次面接では、部長クラスの面接官2名程度が対応します。電通を就職先に選んだ理由や、ハードな仕事に耐えられるかどうかなどが問われます。志望動機を明確にしておくことが重要です。
3次面接は役員クラスの面接官が行い、自己紹介や将来のキャリアビジョンについて質問されます。最終面接の段階ではほぼ内定が決まっているため、リラックスして臨むことが大切です。
インターンシップ
電通では、「キャリア大学」という1、2年生向けのインターンシップを実施しています。毎年約100人の学生が参加し、講義、グループワーク、成果発表、社員による講評などのプログラムを体験します。
講義では、電通の仕事内容や社内の様子について詳しく説明があります。CMクリエイターによる裏話を聞くこともできます。グループワークでは、4〜8人のグループに分かれ、与えられたテーマについてディスカッションを行います。制限時間内に意見をまとめ、1分間のプレゼンテーションを行う必要があります。
インターンシップでは、電通の仕事内容を深く理解できるだけでなく、実践的なスキルも身につけることができます。また、講師に良い印象を与えることができれば、本選考で有利に働く可能性もあります。
電通への就職を考えている学生は、これらのインターンシップに積極的に参加することをおすすめします。電通の企業文化や仕事内容を直接体験できる貴重な機会となるでしょう。
電通の就職難易度
電通は広告業界をリードする大手企業として知られており、多くの就活生から高い人気を集めています。その結果、就職難易度も非常に高くなっています。東洋経済オンラインの「入社が難しい有名企業ランキング」トップ200社において、電通は22位にランクインしています。これは、PwCコンサルティングや丸紅、野村不動産などの有名企業と同等の難易度であることを示しています。
広告業界内での比較では、電通は博報堂に次ぐ2位の難易度となっています。採用倍率は約15.4倍と推定され、非常に競争率の高い企業であることがわかります。しかし、この数字だけで判断するのではなく、電通が求める人材像や内定獲得のポイントを理解することが重要です。
採用実績のある大学
電通の採用大学は、主に難関大学や有名私立大学が中心となっています。具体的な採用実績を見ると、以下のような大学からの採用が多くなっています。
- 慶應義塾大学:26名
- 早稲田大学:15名
- 東京大学:13名
- 多摩美術大学:4名
- 京都大学:3名
- 上智大学:3名
- 武蔵野美術大学:3名
- 同志社大学:3名
これらの大学以外にも、一橋大学、筑波大学、横浜国立大学、青山学院大学、国際基督教大学、明治大学、関西大学などからも採用実績があります。
ただし、電通は学歴だけでなく、個人の能力や熱意も重視しています。そのため、上記の大学以外からも採用の可能性はあります。特に、アート職の採用では、美術大学からの採用も目立ちます。
求める人材像
電通が求める人材像は、以下のような特徴を持つ人です。
- 自発的に動ける人:電通では、自ら仕事を見つけ、遂行することが求められます。
- 明確なやりたいことがある人:「こんなことをやってみたい」という想いを持ち、それを実現しようとする姿勢が評価されます。
- 挑戦志向の人:新しいことに積極的に取り組む姿勢が重要です。
- チームとして働くことができる人:電通の仕事は、多くの人を巻き込みながらチームで進めていくため、コミュニケーション力が必須です。
- 高い想像力を持つ人:相手の気持ちを思いやる力が求められます。
- アイデアと実現力を兼ね備えた人:他社には考えつかない飛び抜けたアイデアを生み出し、それを実現する力が求められます。
内定獲得のポイント
電通の内定を獲得するためには、以下のポイントに注意しましょう。
- 志望動機の明確化:なぜ電通で働きたいのか、入社後どのように成長し、貢献したいのかを熱意を持って伝えることが重要です。
- 自己PRの工夫:学生時代のエピソードを通じて、どんなことを感じ、考えたかを自分の言葉で伝えることが大切です。表面的な面白さではなく、体験から得た学びや成長を強調しましょう。
- コミュニケーション力のアピール:面接では、率直に自分の考えを伝え、面接官との距離を縮めることが重要です。本当の自分を知ってもらうことで、「一緒に仕事をしたい」と思ってもらえる可能性が高まります。
- インターンシップへの参加:電通のインターンシップに参加することで、企業理解を深め、社員との人脈を築くことができます。これは選考で大きなアドバンテージとなります。
- 幅広い知識とスキルの習得:語学力やデジタルの知識があると、提案できる仕事の幅が広がり、自身の可能性も広がります。
- OB・OG訪問の活用:電通の社員から直接話を聞くことで、企業のリアルな部分を知り、志望動機の裏付けとすることができます。
- Webテストの対策:選考にWebテストが含まれる場合は、過去問や問題集を使って十分な練習をしておきましょう。
電通の就職難易度は確かに高いですが、自分の強みを生かし、電通が求める人材像に近づく努力をすることで、内定獲得の可能性は高まります。電通の仕事内容や企業文化を深く理解し、自分なりの価値を提供できることをアピールすることが、難関を突破する鍵となるでしょう。
結論
電通は、広告業界のリーディングカンパニーとして、幅広い事業領域で革新的なサービスを提供しています。その仕事内容は多岐にわたり、クリエイティブな企画から戦略的なコンサルティングまで、顧客企業の成長をサポートしています。電通の企業文化や働き方改革の取り組みは、業界内外から注目を集めており、より良い労働環境の実現に向けて前進しています。
就職を考えている方にとって、電通は魅力的だけど難易度の高い選択肢といえるでしょう。ただ、自分の強みを生かし、電通が求める人材像に近づく努力をすれば、内定獲得の可能性は高まります。電通の仕事内容や企業文化を深く理解し、自分なりの価値を提供できることをアピールすることが、難関を突破する鍵となるでしょう。